むかしむかし、山田川周辺に一匹の大まむしが住んでいました。
春先の雨上がりの、ポカポカした暖かいある日、
大まむしは、ひなたで気持よく昼寝をしていました。
すると、この暖かさで、ちょうど大まむしの腹の下にあった、
チガヤの芽が、急に伸びだし、
たちまち腹をつき破り、上に出ましたから、さあ大変です。
腹を貫かれた大まむしは、苦しみもがきました。
けれど、ほかの仲間も、どうすることも出来ません。
するとどうでしょう。
今度は、ゼンマイが急に軟らかい芽をふき出し、
苦しんでいるまむしの腹を、ぐいぐい持ち上げましたから、
たちどころに、チガヤの芽が抜けて、
大まむしの命は助かりました。
ぜんまいに助けられた大まむしは、とても喜んで、
それ以来、村人にかみつかなくなったとのことです。