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郷土の文化財(4) 下ヶ橋の三つまたがや

下ヶ橋の三つまたがや

 昭和46年(1971)5月に、栃木県天然記念物として指定されたかやの大木で、東下ヶ橋(さげはし)の郷間伝一氏の所有で同家の裏手にあります。

 

 まず地上約2mの所で二またに分かれ、その上約0.5mの所でまた分かれ三本が孤立して威容(いよう)を誇っている。

 

 指定に当って次のように測量された。

 

 樹の高さ    18.5m

 目通り周囲    5.1m

 根回り      9.15m

 枝張り東西   16.0m

 南北       15.5m

 

 樹齢は約五百年と推定されるから、戦国時代の昔からこの地に根をおろしていることになる。

 

 この「かや」には次のような伝説がある。

 

 江戸時代の享保8年(1723)8月10日の五十里(いかり)洪水の時である。

 

 打ち続いた大雨のため満水し土手を破り、一気に下へ押し出し、鉄砲水となって鬼怒川沿岸の家や人たちを襲っていった。

 

 この時東下ヶ橋の被害は、古記録によると「家二十五軒、五人流死」とあるから、殆(ほとん)どの家が流されるという大打撃を受けたということである。とにかく、急に襲ってきた大水である。人々は夢中になって西の台地に向かって逃げたが逃げきれるものではない。誰かの「あの木に登れ」の声で、人々はこのかやの大木に登って水のひくのを待った。

 

 このようにして尊い多数の人の命が助かったのである。

 

 人々にはこの木が神にも仏にも見えたことであろう。

 

 以来、今なお樹勢ますます盛んで、地区の人々を見守っている。

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