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郷土の文化財(5) 下田原の薬師さま

下田原の薬師如来

 大字下田原(しもたわら)の旧田原小学校下田原分校の東南隅に、木造平屋銅板葺(どうばんぶき)で二間(3.64m)四方のお堂がある。この堂内に安置されているのが薬師如来像であり、昔この地にあった密興寺の本尊仏といわれている。

 

 密興寺は康平年間(1058〜1064)宇都宮宗円が宇都宮城築城の時、城の鬼門除けとして薬師如来が安置され、坊舎十二坊の大伽藍(だいがらん)であったが、宇都宮21代城主広綱が宇都宮に移して能延寺と改称するに及んで衰退してしまった。

 

 本尊薬師如来は木彫の座像(70cm)で蓮弁の台座(70cm)の上に温容(おんよう)をのせている。頭部内側に次のような銘がある。

 

「広隆寺大仏師大蔵卿法眼真慶作之、至徳二乙丑十月八日」

 

 至徳2年(1385)に宇都宮12代城主満綱が作らせたともいわれている。

 

 眼に玉をはめ温容の中に威厳をたたえ、頭部には冠をのせたあとがあるが、薬師如来で冠をのせているのは珍らしいとのことである。作風は鎌倉期の風で、出来ばえもすばらしい薬師さまである。

 

 古来から霊験(れいげん)あらたかと尊信を集め、今でも堂内には「目」と書いた願かけの紙がはられている。

 

 昔から村人を温顔で守ってこられた薬師さまであるが蓮弁など破損もみられるが町の宝として長く保存していきたいものである。

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