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路傍の神々(11) 下組の六字名号絵文字線刻画地蔵塔

 下田原の南端、山田川を境にして豊郷の田園地帯を見渡す所、前島に今回訪ねる地蔵塔があります。

 

 「お地蔵様」は誰でも知っている仏様ですが、意味は意外に知られていません。大地に生命を育(はぐく)む力が蔵(ぞう)されているように慈悲(じひ)の深い菩薩(ぼさつ)で、衆生(しゅじょう)を救うとされ、特に賽(さい)の河原で地蔵が子供を救うことから、育児に強く結びつき、子安、子育地蔵などがあります。

 

 六字名号とは「南無阿弥陀仏」の念仏で、この地蔵の衣の部分に図案化され巧みに線刻されています。南無は仏を指す敬称で阿弥陀仏への帰依(きえ)を意味します。

 

 昔は、この石仏で「力くらべ」をしたと伝えられています。この地蔵の祭りを一時中断した時に、地区の子どもが疫病(えきびょう)で亡くなったことがあり、今では毎年11月23日にお祭りを行い、地区の人々によって大切に守り続けられています。

 

 

 この地蔵塔の銘文は、

 

「正徳五未八月十一日」

 

台座正面に「地蔵尊」と献花の線刻、右側に「石奉納人 六本木仲蔵」。

 

 正徳5年(1715)で未年にあたります。また御夫婦の戒名と思われる文字も刻まれています。台座については後補のものと考えられます。

 

 同じ地蔵塔は、氏家町上阿久津逢坂(おうさか)にもあり寛延4年未(1751)の銘があります。

 

 江戸時代中期にこのような美しい線刻の技術を持った匠が存在したことに、わが町の文化と技術の高さを改めて感じました。

 

 河原石 高さ58cm

 

平成6年(1994)2月20日 第289号掲載

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