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路傍の神々(22) 相野沢の大黒天

 新しい年の始めにふさわしく、多くの皆さんに「福の神」が来るように祈りまして、今回は大黒天を訪ねてみます。

 

 新栃木変電所正面ゲートから少し南へ向かい、農業用水の赤い水門のほとり、東北新幹線の良く見える所に、大黒天がニッコリ笑って待っていました。

 

 大黒天は「ダイコクさん」と呼ばれる、とても親しみのある神様です。島根県の出雲大社の祭神大国主神としての習合も見られ、江戸時代以後は恵比寿と共に、福の神の代表として名コンビをくんでいます。

 

 像容は、左肩に大きな袋を背負い、右手に打出の小槌を持って、米俵の上に立ち、あふれる笑顔で、大黒頭巾をかぶっているのが一般的です。

 

 全国に分布し、栃木県内では約110基あります。御利益(ごりやく)としては、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、金がたまる、小銭に不自由しないなどが主なものです。

 

 

 相野沢の大黒天は、家庭の恵比寿、大黒を新しくした時、古い恵比寿、大黒を納めた場所です。

 

 この大黒天の銘文は、

 

正面に「大黒天」

 

右側に「明治十二卯十月廿日」

 

とあります。明治12年(1879)卯の年です。

 

 位置は現在の地に移りましたが、百年以上も相野沢の風景を見つめ続けて来た大黒天、出口の見えなかった平成不況も少しずつ景気回復の兆(きざ)しが見えました。今年は一層の景気の拡大と、豊作を祈りたいと思います。

 

 石造 高さ45cm

 

平成7年(1995)1月20日 第300号掲載

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