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路傍の神々(28) 立伏一侍の祖師堂

御祖師様

 グリーンタウンから宇都宮市横山町へ抜ける道があります。山裾の道に沿って一侍(いっさむらい)の里があり、南へ150m位行くと石段の上に、地元の方が「オソッサマ」と呼ぶ御堂があります。

 

 オソッサマ(御祖師様)とは、一宗一派の開祖である高僧の肖像画や彫刻を呼び、開宗の恩人として祖師様を尊重し、祖師堂を建立しました。ここでは、日蓮宗の開祖日蓮上人坐像を祀っています。

 

 この師祖堂は、一侍の由来と関係があり、口碑によれば西組の大平(うでら)地内に城があり、その城が滅び家臣は四散したが、一人家老が残り、亡き主人の霊を弔(とむら)うため、この地に草庵を結び、法華経三昧に明け暮れたとされています。里の人々は一人の侍の住む里として、ここを一侍と呼ぶようになりました。

 

 法華寺の創建については、中世であると推定できますが、数次の火災や寺地の移転などにより不明な部分も多くあります。現在寺跡には祖師堂を中心に塔碑、石祠(せきし)、手洗石などがあります。現在は宇都宮市仲町に移り、法華寺の法灯を伝えています。

 

 

 さて、本尊の日蓮上人坐像底部の墨書銘は

 

「明治十一年刻」

「昭和七年十月十二日彩色」

「森田善吉」

とあります。

 

 明治11年(1878)に造仏され、昭和7年(1936)に彩色されています。近年再度彩色され、現在は保護のために真綿を頭部に掛けてあります。

 

 毎月12日に地元の方々により、南無妙法連華経の題目を唱える縁日が行われています。

 

 長い年月を通じて、歴史や伝統を守り伝える素朴な心を感じました。

 

 桧寄木造 高さ27cm

 

平成7年(1995)7月20日 第306号掲載

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