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路傍の神々(16) 駅前の十九夜塔

 日々発展を続ける河内町、その玄関口JR岡本駅から西へ少し歩くと、改築工事を終えて整備された「山神社」があります。神社の境内の一隅にあるのが、今回訪ねる駅前の十九夜塔です。

 

 十九夜講は、大字や小字あるいは組内(くみうち)単位で組織され、ほとんどが女人講(にょにんこう)です。毎月十九日の夜、当番の家やお堂に集まり、般若心経(はんにゃしんきょう)やお念仏を唱(とな)えて燈明をあげ、十九夜を勤めます。十九夜講は本尊如意輪観音の徳を讃(たた)え、安産や子育て、婦人病に対する祈りが行われます。勤めが終わると共同飲食や雑談の楽しい一時となります。十九夜講は東北から関西地方に見られます。塔は栃木県内では約1600体余りが確認され、特に十九夜信仰の篤い地方と言えます。

 

 

 この十九夜塔は舟型光背で上部に日天、月天を配し、中央に輪王坐(りんのうざ)をした如意輪観世音菩薩像を刻み、その下には美しい細工を施した蓮華座や台座があります。

 

 台座正面の銘文は、「昭和八酉年 十九夜 旧三月十九日建之」台座の周囲には、世話人三名と寄付された講中の方々の芳名があります。造立は昭和8年(1933)で癸酉(みずのととり)の年にあたります。寄付金は総額206円70銭で、当時としては大金であったようです。

 

 近年、地域づくりやコミュニティづくりが大きくクローズアップされていますが、地域の中の情報交換やふれあいの場として十九夜講の存在の重要性をあらためて感じました。

 

 石造 高さ170cm

 

平成6年(1994)7月20日 第294号掲載

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