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路傍の神々(50) 天王原の巡拝供養塔

 若葉の薫りを漂わす快い風に誘われて散歩に出ました。

 

 田原小学校の裏に立伏方面へ向かう旧道があります。この道路に面して八坂神社があり、今回は境内石仏群の内、向かって右から三番目の巡拝供養塔を訪ねます。

 

 聖地を巡礼することは、宗教の信仰習俗として世界的に見られますが、日本の場合は巡礼に3つの形態があります。1つは観音信仰に基づく札所巡礼(ふだしょじゅんれい)(坂東33、四国33、秩父34)や高僧霊場巡礼(こうそうれいじょうじゅんれい)(四国88)他。2つ目は特定の信仰対象を数多く参拝する(富士何回登山)他。3つ目は地理的に近い地域を寺社の別なく数多く巡拝する(千社礼)他、があります。一つ目の観音信仰に基づく礼所巡礼の記念塔が巡拝供養塔の主流を占めています。

 

 33ヵ所は観音経の中の普門示現三十三身に由来します。

 

 

 

 天王原の巡拝供養塔は方型石塔で銘文は、

 

正面に、

     四国

「□□養 西国 為□□□」

     坂東

     □□

 

右側

「安永七戊戌十月吉日」

 

左側

「乃至法界 願主 妙讃法尼」

「平等利益    随譽法喜」

 

とあり、四国88ヵ所、西国33ヵ所、坂東33ヵ所と不明の部分は秩父34ヵ所と推定でき、188ヵ所巡拝供養塔と思われます。

 

 安永7年(1778)で戊戌の10月に建立されました。

 

 仏教の世界では誰でも等しく仏の御利益が得られることを妙讃さんと随譽さんは願いました。

 

 時は移り、旅の様子も変わりましたが、当時の苦労を思い手を合わせました。

 

 高さ127cm 石造

 

平成9年(1997)5月20日 第328号掲載

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