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路傍の神々(70) 白沢宿の大黒屋看板

 新しい歳神様を迎え、初・春・福に彩られて一年の平安を祈る日本の正月が、伝統の中にまた一つ刻まれて行きます。

 

 白沢バイパス沿い交差点の所に、「大黒屋ドライブイン」があります。今回は新年にふさわしく、この大黒屋に伝わる「大黒屋看板」を訪ねます。

 

「年の始めに 明の方から福大黒神が舞い込んだナー」と民謡にも歌われ「ダイコクさん」と呼ばれ幅広く親しまれている神様です。

 

 島根県簸川(ひかわ)郡大社町にある出雲大社の主祭神大国主神としても知られ、江戸時代以後は恵比須様と共に、福の神の代表としてゴールデンコンビを組んでいます。

 

 大黒天の像容は、左肩に大きな袋を背負い、右手に打出の小槌を持って、あふれる笑顔に大黒頭巾をかぶり、米俵の上に立っている姿をしています。

 

 

 

 大黒屋は以前白沢宿の坂の途中にあり、昭和40年代に県道の拡張工事に伴い現在地に移転しました。言い伝えでは、奥州街道の茶店で、多くの旅人が休憩したそうです。

 

 この看板は移転の時に屋根裏に保存してあったものが発見され、栃木県立博物館の開館記念の時に展示されました。現在はガラスケースに入り、増淵家の家宝として大黒屋店内にて役割を果たしています。

 

 制作年代については江戸時代中期も早い時期と推定され、両面に大黒天の彫刻があり、杉板に付いています。

 

 白沢宿を偲(しの)ぶ貴重な文化財として大切に保存したいと思うと共に、平成大不況から脱出できるように、大黒天に願いました。

 

 高さ24cm 桧寄木造

 

平成11年(1999)1月20日 第348号掲載

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