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路傍の神々(66) 白沢宿白髭神社の二十六夜塔

 花・鳥・風・月、美しい日本の四季の中で冴え渡り彩りを加える秋を迎えて、月が気になる頃となりました。

 

 奥州街道第一宿として栄えた白沢宿中央部の高台に鎮座(ちんざ)する白髭神社があります。

 

 今回は、この境内にある二十六夜塔を訪ねます。

 

 二十六夜塔は本尊を愛染明王(あいぜんみょうおう)としています。正月と7月の26日の夜に、月の出を待ち、精進供養をして、月を拝し、共同飲食などをする行事を二十六夜待と呼び、講中で造立した塔を二十六夜塔といいます。

 

 二十六夜は幅広く信仰され、染物業者は、技術の向上と商売繁盛、農家は豊作、若い女性には恋愛成就などの御利益(りやく)があるとされていました。

 

 またこの月を拝むと、阿弥陀如来が来迎するので、亡き故人と会話ができ、後生が安楽であるとされています。

 

 全国的に分布し、特に九州地方では篤く信仰されています。

 

 

 

 白髭神社の二十六夜塔の銘文は

 

正面に

「二十六夜」

 

右側に

「明治廿九年十一月廿六日」

 

左側に

「石寄附人 五月女新八」

「発起世話人 七名(略)」

 

とあります。

 

 明治29年(1896)に造立されました。石を寄付した方は五月女さんで、発起(ほっき)世話人の7名の皆さんの名前が見えます。

 

 今は訪れる人もなく境内の一隅に佇む二十六夜塔に、現代社会の中で忘れてしまったもの、失ってしまったものを改めて見つめ直す機会を得た思いです。

 

 高さ97cm 河原石

 

平成10年(1998)9月20日 第344号掲載

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