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路傍の神々(19) 西組の道陸神

 稲刈りの終わった田んぼ道に、秋を感じながら田原丘陵に少し入り、自由ヶ丘と太陽ヶ丘の谷間、その小川のほとりに、今回訪ねる「道陸神(どうろくじん)」があります。

 

 道陸神とは栃木県地方独特の呼び方で、一般に道祖神、塞神、金精様などと呼ばれ、全国に分布し、形や名称が違います。

 

 長野県安曇野(あずみの)地方や栃木県粟野町には、男女の神の仲睦まじい姿が刻まれている双体道祖神が特に有名です。道祖神は多種多様に変化して旅や道の神、質の悪い流行病、悪霊や怨霊の集落への侵入を防ぐ意味から、村境や峠、辻、橋の袂などに点在しています。あるいは、生者の人間界と死者の幽冥界の境を司る神とされています。

 

 

 東北地方から栃木県北部では、立派な男性性器をした形のものが多く見られます。

 

 本来の意味に加えて、子孫繁栄や五穀豊穣(ごこくほうじょう)、長寿や健康への祈りもあって、大変御利益のある神様とされています。

 

 西組の道陸神は、ミミダレを治すと伝えられ、松本輝生さん宅の元屋敷の場所にあり、家の移転と共に移動しようとしましたが、神様の「御告げ」によって現在地に大切に祀られています。一時期、草に覆われていた時、周囲に交通事故や怪我が多かったので、屋根を作って注縄を張り、現在に伝承されています。

 

 高齢化と子供の減少が問題となっていますが、子孫繁栄と皆様の健康と長寿を祈りました。

 

 石造 高さ47cm

 

平成6年(1994)10月20日 第297号掲載

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