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路傍の神々(35) 逆面の道標

 通称田原街道を北へ向かい、逆面(さかづら)の里への入口に変則交差点があります。この場所は通称「柿ノ木」と呼ばれています。

 

 この交差点のY字路の付け根の所には、昨年まで火の見櫓(やぐら)と消防器具置場がありましたが、現在は取り壊され、その跡地には地名にゆかりのある柿ノ木を二本植えました。

 

 今回訪ねる逆面の道標は、一連の工事の中で、ガードレールの支柱を設置した時、偶然に発見されたものです。

 

 道標(道しるべ)は、二種類に分けることができます。

 

(1)道案内を主としたものを「道標」。

 

(2)石仏や石塔類に道案内を併記したものを「道標銘」。

 

 逆面のものは道標で、地元の方の話では、昭和35年(1960)頃まで立っていたということです。その後、何かの事情で土中に埋もれてしまったと考えられます。

 

 

 

 この道標の銘文は正面に、

「右 今里一里 大宮三里」

「南 豊郷村一里半 宇都宮三里」

「左 中里一里 徳次郎一里半日光九里」

 

裏面に、

「逆面青年會拾週年紀念 大正六年七月建之」

とあります。

 

 大正6年(1917)に建立(こんりゅう)されました。刻まれた文字には色鮮(あざ)やかに紅殻が残っています。明治時代以後の道標には、里程を入れる場合が多いようです。

 

 このような道標によって地域の交通環境や経済圏、交流圏を考える上で貴重な郷土資料となるよう、大切に保全したいと思います。

 

 地元の方々の熱い思いと工事関係者の協力によって立派に再建されたことを感謝をしました。

 

【注】

 一里は約3.9km

 白河石 高さ87cm

 

平成8年(1996)2月20日 第313号掲載

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